Clash とは? 選ぶ理由
Clash はルール駆動型のオープンソースプロキシコアで、細かなルーティング、複数プロトコル、活発なコミュニティにより、高度な利用者にも広く使われています。従来の「すべてを VPN トンネルに載せる」方式と異なり、ドメインや IP レンジ、アプリ単位で経路を切り替えられるため、国内向けサービスは直結を維持しつつ、YouTube や Google、開発用ホストなど海外側だけを安定してプロキシに回す設計がしやすいのが特徴です。
2026 年時点では、Mihomo(旧称 Clash.Meta)コアを搭載した GUI クライアントが主流で、Windows・macOS・Linux・Android それぞれに成熟した選択肢があります。本稿では、はじめて構成を組む方を想定し、入手から疎通確認までを一連の流れで整理します。
こんな方へ: Clash を初めて触る方、コアやクライアントを入れ替えて設定し直したい方。Windows・macOS・Android を中心に記載し、iOS は macOS に近い「サブスク URL の取り込み」手順を応用できます。
ステップ 1:クライアントを選ぶ
Clash の本体は CLI で、日々の操作には GUI クライアントが便利です。用途に合わせて次のような製品がよく選ばれます。
| OS | 例 | 特長 |
|---|---|---|
| Windows | Clash Verge Rev | Tauri 製で軽快。Mihomo 同梱で継続アップデートされやすい |
| macOS | Clash Verge Rev / ClashX Meta | 前者は Apple Silicon 向けも扱いやすい。後者はメニューバー常駐が軽い |
| Android | FlClash / ClashMeta for Android | 前者は UI が滑らか。後者は機能面が厚めのことが多い |
| Linux | Clash Verge Rev | デスクトップ間で体験を揃えやすい |
注意: インストーラは信頼できる入手元から取得してください。検索結果上位の不明サイトは改ざんリスクがあります。当サイトのダウンロードページも活用できます。
ステップ 2:入手とインストール
例として Windows で Clash Verge Rev を導入する場合の流れです。
- 当サイトのダウンロードページを開き、Windows 向けの Clash Verge Rev からインストーラを取得します。
ClashVerge_x.x.x_x64-setup.exeを実行し、画面の「次へ」などに従って完了させます。- インストール後、スタートメニューやデスクトップのショートカットから起動します。
- 初回起動で Mihomo コアが自動取得される構成が多いです。ネットワーク制限下では設定から手動でコア位置を指定することもあります。
macOS は .dmg を開いてアプリを Applications にドラッグします。Android は .apk を許可して sideload する前に、設定で「提供元不明のアプリ」を許可する必要がある機種があります。
ステップ 3:プロバイダーのサブスクリプションを取り込む
契約中のプロバイダーからサブスクリプション URL(多くの場合 https:// で始まる文字列)が渡されます。これを取り込むとクライアントがノード一覧を取得・更新します。
Clash Verge Rev での取り込み例
- 左の「プロファイル / サブスク」相当の画面を開きます。
- 右上の「+」から「URL から」などを選びます。
- サブスク URL を貼り付けて確定します。
- カードが表示されたら「更新」で最新のノードを取得し、件数が増えることを確認します。
- 利用するプロファイルをアクティブにしておきます。
自動更新(例:24 時間ごと)を有効にしておくと、失効ノードへの置き換えがスムーズです。トラフィック制限に応じて間隔は調整してください。
ステップ 4:YAML 設定ファイルの骨格
サブスクは多くの場合 YAML 形式です。主要パーツを理解しておくと、追記・切り替えが容易になります。
# Clash / Mihomo 設定の例
port: 7890
socks-port: 7891
mixed-port: 7892
allow-lan: false
mode: rule
log-level: info
proxies:
- name: "HK-01"
type: vmess
server: hk.example.com
port: 443
uuid: xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
alterId: 0
cipher: auto
tls: true
proxy-groups:
- name: "🚀 Select"
type: select
proxies:
- "HK-01"
- DIRECT
rules:
- DOMAIN-SUFFIX,google.com,🚀 Select
- DOMAIN-SUFFIX,youtube.com,🚀 Select
- GEOIP,CN,DIRECT
- MATCH,🚀 Select
ここでは proxies が実ノード、proxy-groups が「手動選択」「自動 URL テスト」などの策略グループ、rules が上から順にマッチして経路を決める、という関係です。
よく使う proxy-groups の種類
目的に合わせてグループ型を選ぶと、運用が楽になります。
- select:手でノードや DIRECT を選ぶ。メインの出口に向きやすい。
- url-test:定期的に遅延を測り、軽いノードを自動選択。
- fallback:先頭から順に到達確認し、落ちたら次へ。安定志向に。
- load-balance:負荷分散が必要なときに。
ステップ 5:ルールで分流する
国内トラフィックを直結に残し、海外のみプロキシへ送る、といった分割が Clash の魅力です。代表的なルール型は次のとおりです。
| 種類 | 例 | 補足 |
|---|---|---|
| DOMAIN | DOMAIN,google.com,PROXY |
完全一致のホスト名 |
| DOMAIN-SUFFIX | DOMAIN-SUFFIX,youtube.com,PROXY |
サブドメインをまとめてマッチ |
| DOMAIN-KEYWORD | DOMAIN-KEYWORD,github,PROXY |
ホスト名にキーワードが含まれる場合 |
| IP-CIDR | IP-CIDR,8.8.8.0/24,PROXY |
IPv4 / IPv6 のプレフィックス |
| GEOIP | GEOIP,CN,DIRECT |
国コードに基づく判定 |
| MATCH | MATCH,PROXY |
最後の網。ここまでで決まらなかった通信 |
Rule Provider でルールセットを購読する
細かいドメインを全部手書きするのは現実的ではありません。Rule Provider を使うと、公開されているルールセットを定期取得できます。例として Loyalsoldier 系の集合がよく参照されます。
rule-providers:
reject:
type: http
behavior: domain
url: "https://cdn.jsdelivr.net/gh/Loyalsoldier/clash-rules@release/reject.txt"
interval: 86400
direct:
type: http
behavior: domain
url: "https://cdn.jsdelivr.net/gh/Loyalsoldier/clash-rules@release/direct.txt"
interval: 86400
rules:
- RULE-SET,reject,REJECT
- RULE-SET,direct,DIRECT
- GEOIP,CN,DIRECT
- MATCH,🚀 Select
ステップ 6:TUN モード(任意)
既定ではシステムプロキシを参照するアプリ中心に効きます。CLI・ゲーム・一部 IDE 拡張などはプロキシ設定を無視するため、OS レベルでトラフィックを捕捉したい場合は TUN が有効です。
Clash Verge Rev では設定の「システムプロキシ / TUN」近辺で TUN をオンにします。有効化後は TCP/UDP がカーネル経由でコアに渡り、アプリごとの環境変数設定が不要になることが多いです。
TUN は管理者権限や「拡張機能の許可」が必要な OS があります。Windows は elevated 起動、macOS は初回にネットワーク拡張の許可ダイアログが出ることがあります。
ステップ 7:動作確認
設定が反映されているか、次でざっくり確認します。
- ブラウザで Google や YouTube が開くか。
- ipinfo.io などで表示 IP がノード側の国・事業者に近いか。
- クライアントのログで、国内ドメインが DIRECT、海外が選択ノードに振られているか。
よくあるつまずきと対処
取り込み直後に YAML エラーになる
返答が生の Clash YAML ではなく、別形式のまま届いているケースがあります。クライアント側の「強制変換」系オプションがあるか確認し、プロバイダーに「Clash / Mihomo 用リンク」があるか問い合わせてください。
ノードがすべて失敗する
まずローカルの回線を確認し、グループから遅延測定を実行します。全滅する場合は契約期限、遮断、DNS の問題が疑われます。設定側では例えば次のように DNS を整えると改善することがあります。
dns:
enable: true
ipv6: false
enhanced-mode: fake-ip
nameserver:
- 223.5.5.5
- 119.29.29.29
fallback:
- 8.8.8.8
- 1.1.1.1
fallback-filter:
geoip: true
geoip-code: CN
DNS が漏れる心配
クエリが意図せずローカル DNS に直行すると閲覧先が推測される恐れがあります。enhanced-mode に fake-ip や redir-host を使い、フォールバック DNS の使い分けを破綻させないようにします。国内向け名前解決の速度を保ちつつ、漏れにくい構成を目指してください。
Android での手早い流れ
FlClash を例にします。操作の芯はデスクトップと同じです。
- 当サイトから APK を取得してインストールします。
- 「プロファイル」などから「URL 取り込み」を選び、サブスクを追加します。
- 更新が完了したらホームで起動し、VPN 権限を許可します。
- ステータスバーに鍵アイコンが出れば概ね成功です。
- 端末再起動後もすぐ使いたい場合は自動起動の設定を確認してください。
バッテリー最適化でアプリが止まると切断されることがあるため、必要に応じて電池最適化の除外を検討してください。
運用のコツ
長く安定して使うために次を意識するとよいです。
- サブスクの定期更新:頻度はプロバイダーと相談しつつ、自動更新が使えるなら有効化。
- クライアントのアップデート:変更履歴にセキュリティや対応プロトコルが載ることが多いです。
- 設定のバックアップ:
config.yamlを暗号化ストレージなどに退避しておくと機種交換が楽です。 - 予備のサブスク:単一会社に依存すると障害時に詰みやすいです。
- たまの遅延計測:ノードは時間とともに質が変わります。
クライアント選びでつまずくとき
設定が通ったあとも、古いビルドのまま放置すると新プロトコルに追いつかなかったり、UI の操作性に不満が出たりします。さらに入手元が曖昧なインストーラは改ざんのリスクがあります。単純 VPN 型の製品だけに頼ると「全部をトンネルに載せる」前提になりがちで、アプリやサイトごとに経路を分けにくい場面もあります。
Clash はルールと策略グループを組み合わせて、遅延・耐障害性・地域別の出口を用途に合わせて調整しやすいのが強みです。コアが継続開発されているクライアントであれば、ノードの入れ替えやルールの追記もスムーズです。もし今の環境で更新が止まっている、あるいはセットアップに時間がかかりすぎていると感じるなら、動作確認済みのパッケージに乗り換えるだけで負担が下がることがあります。
手元のソースが不安定な場合は、配布経路が明確でコアが新しめに追従しているビルドを選ぶのが安全です。当サイトでは各 OS 向けクライアントを整理しており、取得から基本設定まで一気に進めやすいようになっています。